UX と UI の関係を整理

ブログ始めます。有識者のみなさま、フルボッコにしてください。
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UX という概念が世に浸透してきたせいか、ここ1年ぐらいでブログやセミナーのタイトルに「UI/UX」という表記をよく見かけるようになりました。また、この表記が「ちょっと違う」「違和感」と言う趣旨のツイートや Facebook の投稿も同時に見られるようになりました。そのせいか最近は UI と UX の違いを説明する投稿や Blog などをよく目にする気がします。

私が大学生のころは「UI の時代は終わって UX の時代だ!」とか言われ、数年前は UI じゃなく UX のことまで考えなければいけない!というのが時流だった気がします。UI を検討する上での上位概念として UX が位置づけられることが多かったかと。でも、もうそんな時代は今は昔。今や UI と UX を並列表記すると「?」と言われるご時世になったようです。

確かに UX は UI 屋さんだけが関わる領域ではないですし、概念は全くの別物。UI/UX という表記に何かを感じる気持ちはわからないでもないです。ただ、UX の関係する領域は広すぎるし、記事やセミナーの中身がピュアに UI だけの話だとか UX が一切関係無い記事であることは稀なので、私は UX と UI を一緒に書くことが許されないのはなぜだ…と考えてしまいました。何が正しいかよくわからなくなったので、UX と UI の関係を整理してみることにしました。

僕が Web を徘徊している中では、「体験とは何か」を中心に UX と UI の違い (さらに UX デザイン) を説明している記事や投稿を多く目にすることが多いです。こちらはもう賢人の素晴らしい説明が豊富にあるので、私はユーザーが体験するモノゴトから UX との関係を整理してみようと思います。



これはユーザーが体験するモノゴト (おしゃれに言うとタッチポイント) をまとめた図です。ISO 9241-210 で UX について書かれている「使うこと/使うことを予測したときの体験」という定義をベースにしました。私の専門領域であるアプリケーションに限定しています (包丁など電子機器以外では定義がだいぶ変わってしまうので)。

この図ではユーザーが体験するモノゴトのひとつに UI を位置づけています。UI を通した利用は体験全体の一部にすぎない、ということです。

例えば「twitter で友人が instagram で撮った写真を見てかっちょええなーと思い、AppStore から instagram をダウンロードした。さっそくアプリを立ち上げた。ライブラリーの写真を読み込む方法がわからなかったけど、カメラ機能で写真撮ってフィルタかけたら究極かっこいい写真ができた!やったね!!」というユーザーのシナリオがあったとします。この中でユーザーと接したモノゴトは以下のとおりです。

1. 友人が instagram で撮ったかっちょええ写真 (他者利用中および利用結果の観察)
2. twitter の投稿 (SNS, Blog からの個人からの情報)
3. AppStore
4. instagram (機能, パフォーマンス, UIとインタラクション, ビジュアル)
5. 自分が撮影した究極かっこいい写真 (コンテンツ)

写真を撮るところまで行きつけたユーザーの場合、[1] と [5] 、友人の instagram 写真より自分の instagram 写真がイマイチだと残念な気分になるはずです。このシナリオでユーザーが「やったね!!」と思えるのは、フィルタがとても高性能な場合やユーザーが写真を撮るのが上手である場合だと考えることができます。UI だけではなくフィルタがポイントになるわけです。同様に利用のきっかけ、つまり体験の開始点が [1] であることもポイントになります。UI 以外にも UX をつかさどる接点もポイントとなるため、UI と UX が並列表記されるべきではないとされるのだと思います。

余談ですが、UX をデザインするというのは最終成果物として UX ジャーニーマップのようなものを作ることだと私は考えています。ペルソナのように利用時の体験がはっきりしないものは中間成果物にはなりえても最終成果物にはなりえないかと。

ついでに、ユーザビリティが関わる範囲についてもオマケ的に記入しました。僕は職業柄ユーザビリティ上の課題と UI で解決できることの違いで泣くことが多いです。


こちらはアプリケーションの利用時体験が各接点とどう関わっているかについて描いた図です。満足のポイントは曲なのか音質なのか、それとも…という整理をするために、アプリケーションだけの図にしました。仕事としてアプリケーションそのものにしか関わることができない場合でも、この図に描いた接点でどこがどうポイントになるのかを意識してアプリケーションを設計できるはずです。アプリケーションに限定した場合も、UI は UX をつかさどる接点の一部であることがわかると思います。

UI を軽んじた書き方になってしまった気がしますが、UI は各接点への入口であり、アプリケーションの使い方そのもです。UI のうしろに続く接点をどうユーザーに提供するかが UI に依存します。だから UI は UX において重要という話になります。UX という言葉の枕詞にシンプルという言葉がついてまわるのはこのあたりが影響しているのでしょう。

(あ、この図では初見の印象だったり素敵なビジュアルから生まれる「持っててうれしい感」を表現できませんでした。印象は変化するのでこの図のような一本線の時間軸と合わせるのに無理があって…。なんかいい方法ないかなあ。)

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UI というアプリの機能やコンテンツへの入口と、体験全体を含めた UX を「UI/UX」と並列表記するのは違うという主張、これは正しいと思います。正しいですが、私が読む記事のほとんどが体験(主に使いやすさやわかりやすさ) を良くするための UI について書かれているので、一緒に表記するのは間違いとも言えません。UX という概念がなんでもアリすぎて不正解を言うのが難しいです。じゃあどんな表記がいいのかというと、うーん…。

「UI⊂UX」
抱含関係にしたよ。えへ。あと UI/UX は並列じゃなくて分子分母の関係としてとらえれば実は正解なんじゃね!?とか、正しさを追求しようとしたら言葉遊びになっちゃいました。

こんな感じでまとめる限り「ツッコミ入れたくなる気持ちもわかるけど、表記そのものに大問題がある気もしない、だからといってこの問題を解決しても先には何も無い」という結論に至りました。いや、もちろんこの風潮が UX デザインしようぜっていう追い風になって、上流から UX っぽい成果物が出てくるようになったら、UI 設計の下流にいる私はうれし泣きしながらスタンディングオベーションします。あ、他力本願じゃなく自分でがんばらにゃーな。